不登校の高校生の対応 原因を探ることは大切だが理由を聞いてはダメ
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知り合いを通じてある母親から高校生の息子が不登校になって困っているという相談を受けました。

小学生や中学生のお子さんが、急に「学校に行きたくない」「学校に行けない」と言ってきたら普通の親なら、戸惑い・迷い・悩みますよね。

 

まして、幼いときからの子育ての苦労がある程度落ちついて高校に進学し、「やれやれ、これで子育ても一段落かな」と思っていた矢先の不登校はさぞショックを受けると思います。

中学校の教師として30年近く勤めていた経験を踏まえ、相談者にアドバイスしたことを載せますので、お役に立てていただければ幸いです。

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不登校の高校生1年男子の対応をどうしたらよいかという相談

高校生の親から不登校の相談
知り合いから、「高校1年生の息子さんが不登校になって悩んでいる人がいるから相談に乗ってやってよ」という連絡をもらいました。

さっそく会って話を聞いた内容は次の通りです。
 ※プライバシーに配慮し、一部内容を変えてあります

相談者:母親、44歳、最近パートで働き始めた
夫:47歳、会社員、仕事で帰りが遅いことも多い、やさしく穏やかな性格
子ども:2人(長男/高校1年、長女/中学1年)
息子さんの情報
子どものころから人から「良い子だね」と言われることが多く、あまり手のかからない子だった。
妹とも仲が良く、よく一緒に遊んでいて面倒見も良かった。
中学校に入ってからの成績は中の上という感じ、日頃の勉強はあまり熱心ではなかったがテスト前などは一生懸命勉強していた。
部活動はソフトテニス部だったが、1年生の夏休み明けに辞めて、美術部に移った。
小学校の時はよく一緒に遊んでいた友達がいたが、中学校に入ってからはよくわからない。
中学の2、3年ころから休みの日も家にいて、ネットやゲームをすることが増えた。
中学3年の後半からは受験勉強をそれなりにしていたが、ネットやゲームをしている時間も多かった。
高校生になってから、最初は毎日勉強していたが、しだいにネットやゲームをしていることが多くなって、夜12過ぎまで起きていることも多かった。
5月の連休明けから朝起きる時間が遅くなり、6月に入ってから学校を休むことが出てきた。
7月上旬からは学校にまったく登校していない。
学校に行かなくなってからは日中ネットやゲームばかりしているようで、時々注意をしていたが変わらず、しつこく言うとキレることがあって(小さいころとの違いに)驚いている。
今は夏休み中だから特に何も言わないでそーっとしている。
本人は2学期から登校すると言っているのでこのまま様子を見ていていいか。
これからのことを考えると不安でしようがない。
夫の仕事が最近忙しく、なかなかじっくりと相談することができず、どうしていいかわからず悩んでいる。

 

さて、あなたならどうアドバイスします?

私は次のように話しました
このまま放っておけば2学期からの登校はまず無理でしょう。
登校させることを急ぐとかえって長引かせる恐れもあります。
まず、息子さんがなぜ登校しないのかを探ってみましょう。
ただし、お子さんに学校に行かなくなった理由を絶対に聞いてはいけません。

母親はいぶかしそうに言いました。
「なぜ登校しないのかを確認するのに、本人に聞いてはダメなんですか?」

 

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不登校の理由を問いただしてはいけない理由

高校に行けない理由を聞かない
順調に育ってきたと思っていた矢先にこんなことになると、お母さんはとても辛いですよね。

お父さんだって忙しい仕事をこなしながら心を痛めていると思います。

妹さんも家の中の空気を察して息を潜めているという感じではないでしょうか。

理由を問いただしてどうするつもりですか?

確かに母親も父親も妹だって困っているのですが…

でも、いちばん困っているのはきっと息子さんです。

平然とゲームをしているように見え、いちばん悩んでいるのはお子さんではないでしょうか。

だから

「どうして学校に行かないの?」
「困っていることがあるなら何でも言って!」
「黙っていちゃぁ、わからないじゃないの!」

そんな彼をさらに追いつめるような言葉を言ってはダメなんです。

問いただして、本人から不登校の理由を聞くことができれば、親としてはある意味安心するかもしれません。

でも、問いただして、その後どうするつもりでしょうか…。

 

結局、理由を聞いたところで本人を責めるようなことしか言えないのが目に見えています。

 

不登校の本人自身、理由がわからない場合

実は、不登校の理由を聞いたところで、本人自身理由がわからない場合も多いんです。

 

中学校で担任した生徒、担当した学年の生徒で不登校になった生徒はもちろんいます。

その中で、残念ながらまったく改善しないまま卒業していった生徒もいます。

一方、途中で復帰した生徒もたくさんいますし、高校から心機一転やり直しをすることができた生徒もいます。

後日、そういった生徒に話を聞いたことがあるのですが、不登校になった理由を言える生徒は少なかったです(^^;)

 

私がいちばん驚いた青年がいます。
中学時に担任をした生徒なのですが…

なんと、中学生の時に自分が不登校になった時期があることの記憶があいまいなんです。

そんなものです(^^;)


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不登校の原因を親は考えてみる必要がある

いじめにあっていたら
不登校の理由を詮索することより、これからどうするのかを考えるのがいちばん大切
そう思っています。

そして、そのためには親がなぜ不登校になっているかを考える必要があるとも思っています。

 

それを相談者に言ったら、こう言われました。

『さっき「理由を問い正してはいけない」と言ったじゃないですか!』

 

その通りです!

 

理由を説明しますね(^^)/

なぜ、親が不登校の理由を考えなければならないか、それは原因によってはすぐに親が動く必要がある場合があるからです。

 

これから不登校の理由として、経験上いちばん多いものを5つ説明します。

 

不登校の原因がいじめだったら

いちばん恐れるのが、不登校の理由がいじめによる場合で、この場合は親がすぐ対応する必要があります。

『「困ったことがあったら何でもお母さんに言うのよ!」そう言ってあるから』
『うちの子は、困ったことを何でも親に言ってくれるから」

これは単なる親の勘違いです。

 

多くの場合、いじめを受けていても子どもは親に話してくれません。

・親を心配させたくない
・親を悲しませたくない
・親に自分が「いじめを受けている情けない子」だと思われたくない

こどもの心の中はいろいろな思いで揺れ動いているでしょうが、基本的にはママやパパが大好きなんです。

大好きだからこそ、迷惑をかけたくないと思って自分の中に秘めようとするわけです(^^;)

 

私なら次のようにします。
 ※あくまでも私なら…ということで参考程度にしてください。

本人には絶対にバレないように細心の注意を払って、高校の先生から次のような話を聞きます。

・登校していたころの様子はどうだったか
・登校していた時にやりとりをしていた生徒はどんな生徒か

学校の先生は敵ではありません。
あくまでも教えていただくというスタンスをとります。

 

クレーム的に話しかけて、先生に構えられると聞ける話も聞けなくなります。

私なら「自分の子どものことを何も知らないバカ親ですので教えてください」と言います(^^)/

 

やりとりをしていた生徒から話を聞ければいちばんいいのですが、最近はきっと生徒の氏名さえ教えてくれないでしょうね(^^;)

でも、先生から学校での様子と、一緒にいたことが多かった生徒の性格や行動パターンをつかむことができれば、ある程度の想像はできると思います。

 

仮にいじめが原因だと予想されるのであれば、高校に再登校させることは大切なお子さんを敵地に一人放り込むようなものですから絶対にしてはいけないことなります

相談者の場合は、高校の様子を聞くまでもなく、恐らくいじめによる不登校はあまり心配いらないと思います。
でに、念のために確認してもらうため、次の話をしました。

担任の先生と情報交換をするのは大切ですしね…

 

急に無気力になったのであれば

高校に入学して間もなくやる気が感じられなくなった時は、頑張り屋さんの場合に多いパターンです。

受験勉強をものすごくがんばって、合格してホッと一息。
ところが、その後「高校合格」といった具体的な目標がなくなったために気力がなかなか高まってこない。

そうこうしているうちに、何となく怠惰な生活に流れてしまうといったことが考えられます。

 

成績表を見て気づくこと

中学校の時の成績と高校の成績を一概に比べることはできません。

それでも、中学校の時の成績と高校のレベルを考えればある程度の予想はできます。

 

予想する成績よりもかなり低い場合は、学習についていけなくなっている恐れがあります。

合格でホッとして、勉強の手を少し抜いて油断しているうちにどんどん先に進んでしまったのかもしれません。

ある特定の教科が極端に悪い場合は、そこでつまづいているのかもしれませんし、その教科の先生と合わないことだって考えられます。

 

だから、成績表を見て予想できることもあるんです。

 

学校になじめない、違和感を感じている

違和感を感じて不登校になる
おとなしい性格の子どもの場合、人見知りの傾向がある場合などは、学校が変わり他の生徒がどんどん友達の輪を広げたり、楽しそうにやりとりしている姿を見て、何となく取り残されているような気持ちになることがあります。

また、今までは仲が良い友達と一緒にいることで、本来もっていた社交的ではない性格があまり表面に出ないでここまできたのかもしれません。

そして、高校進学で親しかった友達と離れてしまうことをきっかけに、現実を突きつけられて自分の性格に幻滅してしまう場合などもあります。

 

これとは別に、友達のことではなく、学習内容そのものに対する違和感を感じてしまう場合もあります。

特に普通科以外の学科の場合は、「こんなはずじゃなかった」「自分はこんな勉強をこれから3年間もするんだろうか?」そういう違和感を感じる生徒は意外と多くいます。

さらに、「いったい何のために勉強しているんだろう?」「今学習していることって将来なんの役に立つんだろう?」そういった疑問をもって立ち止まってしまう場合だってあります。

 

ばくぜんとした将来の不安?

今までは高校進学を目指してきたけど、いざ合格を果たすと目標を見失ってしまう。

さらに、この後の進路をどう考えれば良いのだろうという不安、自分は何ができるんだろうかというばくぜんとした不安、いったい自分はこれから何をすればいいんだろうという不安、そんな不安が心の中を占領してしまい、先に進めなくなってしまう場合もあります。

 

不登校の高校生の対応で親のできること

さて、ここまでさまざまな不登校の理由を考えてきました。

が…

何度も言いますが、不登校の理由や原因を突き止めることが目的ではありません。

それらを考えることで、親として何ができるかを考えるきっかけにすることが重要です。

 

私たちは、たとえ我が子であっても親の力では変えることはできないと考えています。

変えられるのはあくまでも自分自身、お子さん自身だけなんです。

 

さぁ、ここんまでに考えたことを元に、次のステップに進みます。

不登校の高校生に親がしてあげられること
親が過度な心配をもたずに心落ち着ける方法
子どもの将来を見すえ自立させる方法
自己肯定感を高め人に役立っている感覚を持たせる方法
人とのやりとりを自信と思いやりをもつことができるようになる方法

長くなったので、これらは別のページであらためて書きますね(^^)/

それではまた!

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