「子育ても中学生くらいになれば少しは楽になるかしら」
そう思っていたらとんでもない。
- 口数か少なく何を考えているかわからない
- 聞いても返事をしないことさえある
- しつこく言えば「うるせぇ ババア!」とか言って怒り出す
- なにを言っても言う通りにしてくれない
・私って子育てを失敗したのかしら?
・それとも私が空回りしているだけなの?
私が中学校に勤務していたとき、こんな悲痛な声を時々聞きました。
ところが、同じような話を何人ものお母さんに聞くうちに、ある共通点に気がつきました。
子育てに疲れた親の共通点とは
その共通点とは、がんばり過ぎということです。
もちろん、がんばることは素晴らしことだと思います。
でも、ちょっと待ってください!
次の2人の方はどちらもがんばっていますが、あなたはどちらの人がうまくいくと思いますか?
それでもうまくいかなければもっとがんばる。
それでもダメならもっともっとがんばる。
それでも結果が出なければ、やり方を見直したり、もっと楽に結果が出るように工夫する
私はBさんの方が結果に結びつきやすいと思うのですがいかがでしょう?
さらに、Bさんの場合は日を追うにつれ効果的な方法が見つかるのでしだいに楽になっていきそうです。
中学生の子育てで自分だけが空回りしていると思ったら…
我が家の長男が大学の受験で不合格となって浪人生活をしている時がまさにAさんのようでした
- 自分はものすごくがんばっている(実際毎日10時間以上勉強していました)
- こんなにがんばっていれば次の模試では必ず結果が出る
- (模試の結果が悪く)今回は結果に出なかったのでもっと勉強時間を増やして頑張る
親から見ても悲壮感ただようようなこんな生活を1年間続けましたが、結局また不合格となってしまいました。
あとから思い返せば、彼は頑張っていると自分自身に言い聞かせ、効率的にする方法や効果的に伸びる工夫はしなかった。
一言で言えば頑張ることに自己満足していただけだったのかもしれません。
結果に結びつかなかった時に
- 自分はなにが弱点なんだろうかという分析をしてみる
- ちょっとやり方を変えてみる
こんな感じに、彼がもっと柔軟性のある多様な考えになれるように、親としてできることを考えるべきだったと大いに反省しました。
あなたなら上手に工夫することができます
こうやって検索して、お子さんとの関係をより良くしようと考えようとしているあなたなら、今よりストレスなくお子さんの相手ができると思います。
- このままじゃダメ、何か見直す点はないな?
- もっとうまくいく方法はないかな?
これからお読みいただくことが、このように考えるきっかけになれば幸いです。
では、具体的な親と子のやりとりを例にしてみましょう。
子育てに疲れたあなたの子どもが中学生なら
お母さんとお子さんの、ありがちな場面を3つあげてみました。
お母さんと子どもの朝食の時のやりとり
母親は家族の誰よりも早く起きて朝食の準備を始めています。
今日はご飯に、焼き魚と卵焼き、野菜サラダにみそ汁。
作り終えると起こす時間になっているので声をかける。
「太郎~ ご飯できたよ~」
少し待っても起きて来ないので部屋まで行き声をかける
「太郎 早くしないと時間がなくなるよ 起きなさい!」
ご飯にみそ汁をかけてかき込みながら食べる太郎。
「そんな食べ方しないの!」
「うん」
「美味しい魚だから食べてみて!」
「……」
「ほら、野菜もちゃんと食べないと!」
「……」
結局、卵焼きを食べただけで魚と野菜は手を付けていない(^^;)
そして黙って自分の部屋に戻っていった。
子どもの出かける時のママとのやりとり
「○○くん、玄関前に待っているわよ!」ようやく玄関に来た子どもに向かって母が言葉を重ねる。
「忘れ物は大丈夫? 鍵は持ったの?」
「天気予報だと雨が降るそうだから傘を忘れないでね!」
さらに
「夕方、お母さん少し帰りが遅くなるかも…」
そう言いかけた瞬間ドアをバタンと閉めて出て行った(^^;)
夕方、帰宅したときの母と子どものやりとり
母親がいつもより少し遅く帰ると、子どもはもう家に帰っていた。
玄関前にいるところと見るとカギはもっていかなかったようだ。
「鍵ないの? だから言ったでしょ、帰りが遅いって!」
「遅くなるなんて言った?」
「傘も持っていかなかったんだ、びしょぬれじゃない!」
さっそく風呂をわかす母親。
ところが、部屋に戻ってからすぐに子どもが出てきた。
「行ってきます」
「今日は塾のない日でしょ?」
「友だちと約束があるから」
「友だちって誰?」
「誰でもいいだろ」
「どこに行くの?」
「……」
そして黙って不機嫌そうに出かけていった。
中学生の心の声を聞いてみましょう
- 「もう子どもじゃないんだから、いい加減にしてくれないかな。」
- 「人の話も聞かないで一方的に次から次に言われたらたまらないよ。」
- 「とにかく親がうるさい! あ~、もううんざり……」
✔ 何度も言わないで、少しでも言葉かけを少なくする工夫をする
✔ 一方的に言わないで、子どもの話をできるだけ聞くようにする
夫に過干渉をしてみると
先ほどあげた3つのやりとりは、中学生の親の過干渉の例です。
私もそうでしたが、多くの親御さんが子どもに対しては無意識にしていることでしょう。
これを、同じように大人(この場合は夫)に言う場面で思いうかべていただくと、とても違和感があることがわかると思います。
早く帰ってきた旦那と奥様の夕食の時のやりとり
「今日は早かったわね、もう少し時間がかかるから待っててね」
「できたわよ、一緒に食べましょう。」
「どう、おいしい?」
「うん」
「あなた野菜不足になりやすいから、サラダもちゃんと食べてね。」
「ところで、今日は早かったけど何かあったの?」
「別に何もないさ、たまに早く帰ろうと思っただけだよ。」
「えーっ! 早く帰ろうと思えばいつでも帰れるの?」
「毎日遅いけど、何してるわけ?」
「まぁ、いろいろ付き合いもあるし……」
「付き合いって、相手は誰なの?」
「……」
朝の夫婦のやりとり
「今日は遅出なんだから、もう少し寝かせてくれよ」
「それならそうと昨日のうちに言っておけばいいじゃない!」
「そうすれば私だってあんなに早起きしないですんだのに!」
やがて朝食を終えて
「ワイシャツとネクタイを出しておいたわよ」
「今日は雨が振るようだから傘を忘れないでね」
「あ、それからハンカチも忘れないようにね」
「今日は何時に帰ってくるの?」
「何時って、仕事柄決まった時間に終わらないのを知ってるだろ!」
「それはわかるけど、夕飯を作る身にもなってよ」
「昨日だって、せっかく夕食作ったのに、食べてきたとか言うし…」
「昨日は急に山田さんとの打合せが入ったからね…」
「山田さん? だれ、その人、初めて聞く名前だけど」
「会社の人? まさか女性じゃないんでしょうね」
「……」
旦那さんの心の声を聞いてみましょう
- 「こんなことになるなら、昨日せっかく部下に誘われた飲み会を断らなきゃ良かった。」
- 「遅い日が続いたので、たまには早く帰ろうと思っただけなのに。」
- 「うるさいから誰と一緒とかもう二度と言わないことにしよう。」
大人相手ならこんなに心配しないし、しつこくも言わない?
太郎くんとのやりとりも、旦那さんとのやりとりも、過干渉になる例として書いてみました。
後半の大人を相手にしたやりとりをお読みいただくと、ずいぶん違和感を感じたのではないでしょうか。
もちろん、子どもと大人は違います。
でも、小学生低学年から中学生、高校生にかけての思春期の時期は子ども扱いされることを嫌います。
すると、こう思うかもしれませんね。
「まだまだ子どもよ、この前だってベタベタと甘えてきたし…」
おっしゃる通り、その反発と甘えという相反する感情がゴチャゴチャになるのが思春期の特徴です。
ですから、子どもがその時期を上手に乗り越えるまで、親は心を広くもって、子どもの言葉や態度にいちいち振り回されないようにすることがコツなんです。
思春期と反抗期の違いについては →コチラ
さて、話を元に戻して、子育ての疲れをこれ以上増やさないように、お子さんとのやりとりを考えてみましょう。
子育ての疲れを軽くしてくれる中学生親子の会話例
お母さんと子どもの朝食の時のやりとり
母親は家族の誰よりも早く起きて朝食の準備を始めています。
今日はご飯に、焼き魚と卵焼きと野菜サラダにみそ汁。
作り終えても太郎はやってこない。
「さぁあなた、私たちは先に食べましょ!」
やがて制服姿の子どもが来たと思ったら
「やべ~、遅刻するかもしれないから、もう行くね」
「そう、朝食は冷蔵庫に入れておくから帰ったら食べて!」
「わかった! 夕飯と一緒に食べるさ!」
夕方、帰宅したときの母と子どものやりとり
玄関前にいるところと見るとカギはもっていかなかったようだ。
「あらあら、可哀想にびしょぬれじゃない。」
「そうそう、今日、カギ忘れちゃってさ。」
「私もよく忘れ物するから同じね」
「そう、母親似! だからお母さんもちゃんとしろよ!」
「そうね、ところでお風呂作ろうか?」
「いいよ、友だちと約束があるからすぐ行かなきゃ。」
「あら大変ね、夕食はお父さんが帰ったら先に食べてるね」
「了解~、じゃあ行ってきま~す!」
※ずいぶんシンプルになるでしょ!
過干渉をやめるためには前段階の準備が大切
過干渉をやめると子どもはもちろん、あなたも楽になります。
ただし、すぐにそれを実践すると大変なことになります。
いきなり、ガラリと変えることは絶対に止めてくださいね(^^)/
先ほどの例をあげるなら…
「あなたも中学生になったから、これからは起こさなくても自分で起きてきてほしいんだけどいいかな?」
「うん、いいよ。しつこく起こされるよりいいし(^^)/ その代わり目覚まし時計を買って!」
「仮に起きてこないことがあったらお母さんはどうすればいい?」
「その時は見捨てないで起こしてよ!」
「わかったわ、とりあえず1ヶ月やってみて、その後のことはまた相談しましょ!」
あるいは…
「放っておいていいさ、もう子どもじゃないんだからね!」
「わかったわ、そうする。やってみて困ったら相談してね」
同じように…
「そうね、自分で持っていれば便利だよね」
「でも、家のカギを無くすと、それをドロボウが拾ったら大変! ドアノブごと全部交換することになるから責任重大なんだけど、大丈夫?」
「大丈夫、無くしたらボクのお小遣いでカギを交換してもいいよ。」
「そこまで言うなら、お父さんに話してからカギを用意するね。」
さらに…
「いいよ、天気予報を見ればオレだってそれくらいできるさ。」
急にガラリと子どもに任せてしまうのは危険です。
まして、子どもと事前に相談しないまま一方的に「今度からこうしてね」と勝手に決めては意味がありません。
このように、お子さんの成長段階に合わせて、子どもが自分で判断して、自分自身で責任をとることができるよう、少しずつ任せていく必要があります。
最初はお母さん自身が自分でやるほうが圧倒的に楽です。
でも、楽をしているといつまでも子育ての苦労や疲れが減りません。
手間がかかっても大変でも、少しずつ少しずつ任せて肩の荷を下ろしていきたいものです。
過干渉をやめると親も子どもも楽になる
今まで登場してくれた過干渉のお母さんはどうでした?
とにかく一生懸命で、まったく悪気はないんですよね。
それに、あれこれ子どもの世話を焼こうとする気持ちはとてもよくわかります。
だって、子どもが幼いころは、子どもは何でも話してくれたし、子どものことは何でもわかっていたわけです。
だから、子どもがいくつになっても、子どものことはすべて知っておかないと気がすまないんですよね。
でも、いつの日かお子さんはあなたの元を離れ、自立して生きていかなければなりません。
通常であれば、子どもは私たち親よりも長生きするのですから、一生面倒をみてあげることはできないわけです。
やがて、お子さんも40歳になり、結婚して家を持ち子ども(あなたの孫)と一緒に住んでいるとします。
その40歳の子どもから「ねぇ、ママ、今日は会社に傘を持っていった方がいいかなぁ」と電話がかかってきてもいいですか?
お子さんが50歳になっても定職に就かず、あなたの年金をたよりに同居し続けてもいいですか?
困りますよね(^^)/
私もイヤです(^^;)
子どもはある日を境にガラッと大人に変身するわけではありません。
だから、時期を見て、子どもが自分で判断し、自分でその結果を受けて責任をとることができるよう、少しずつ任せていきたいわけです。
子どもの成長段階に合わせて少しずつ任せて行くには私たち親の根気が必要です。
また、子どもが失敗したときも手を出さない我慢強さも大切です。
ダメな親「やっぱりまだ無理ね、ママに任せておきなさい!」
普通の親「大変だったね、でもいい勉強になったじゃない。」
賢い親「大変だったね、でも自分で責任とってすごいと思うよ、ママがあなたくらいの時は全然できなかったもの(^^;)」
さぁ、かしこい親を目指していきませんか?
任せられることが増えていくと、とても楽になり、子育ての疲れも少しは軽くなると思いますよ。
子育ての疲れ 中学生の場合のまとめ
山口県のある教育者の言葉らしいのですが…
子育て四訓というのがあります。
2.幼児は肌を離せ 手を離すな
3.少年は手を離せ 目を離すな
4.青年は目を離せ 心を離すな
お子さんが中学生くらいであれば、3の段階でしょうか?
これによれば、目は離さないまま手を離せということですね。
それでは、また!