
子供が家の中でうるさく騒いでいた時にある母親が大きな声で叱りました。
「うるさーい! 静かにしなさい!」
ところが子供は静かにするどころかかえってうるさくなってしまいました。
なぜだと思います?
学校に勤務していたときの同僚の先生で、うるさく騒ぐ生徒に大きな声を張り上げることなく静かにさせている人がいました。
何をしたと思います?
学校に勤めていた頃に接したいろいろなお母さんや先生達、そしていろいろな事例を元に子供の上手な叱り方のコツについてまとめてみました。
子供の叱り方のコツ
子供の叱り方には言い方があります。
そして叱り方がまずいと逆効果になることさえあります。
4歳5歳といった年齢や小学生低学年、高学年、中学生といった学年によって叱り方に違いもあると思います。
また、子供の叱り方で男の子と女の子の違いもあるでしょうし、お母さんとお父さんの違いもあります。
でも、基本的な考え方は同じだと思いますので、子供の叱り方で迷いがある方はぜひお読みください。
子供を叱る時に感情で怒ってもいいですよ
よく「叱ることと怒ることは違う」とか、「感情で怒るな」といった言葉を耳にします。
そんなきれいごと言ってるからダメなんだよ!
私もそう思います(^^)/
叱る時に感情をぶつけることをすべてダメだとは思いません。
一緒に勤務していた女性の先生の中に小柄でやさしい国語の方がいました。
中学校では、時としてそういった先生をバカにして、言うことを聞かない男子生徒がたくさん出てしまい、手を焼くこともあります。
彼女の学級にもやんちゃで元気のいい生徒がいたのですが、不思議とその先生の言うことは良く聞いていました(^^;)
なぜだと思います?
実は、その先生、めったに怒らないのですが、生徒を怒る時は本気になって顔をまっ赤にして思いっきり感情をぶつけていました(^^;)
ポイントは2つあります。
いつも優しくめったに叱らなかった
そうだよな! しょっちゅう叱ってばかりだと効き目はないだろ!
だからと言って、叱るべき時に叱らないのもだめでしょう?
確かにそうだな、でも長い時間グチグチと叱られたらやっぱりダメだろ!
話は思いっきり逸れますが、うちは犬を飼っていたのですが、躾のコツでワンちゃんを飼っている先輩からこんなことを聞いたことがあります。
犬を叱る時は、その場ですぐに目を見て「ダメ!」と短く強く言って!
※後で叱っても、犬は「この人は何で怒っているの?」と思うだけでわからないから
※長い言葉で叱るのもダメ「いつもダメだと言っているでしょ、ホントに悪い子ね、もうやっちゃダメよ!」と言われても犬は何だかわからないだけ(^^;)
もちろん、お子さんと犬は違いますが、特に小さなお子さんには参考になるところもあるのではないでしょうか。
怒る時はものすごい迫力で顔を真っ赤にして怒っていた
時にはこの先生のようにメリハリを付けて、怒る時は徹底的に感情をぶつけてみる。
あるときは
「あなたはいいかもしれないけど、他の人が嫌な思いをすることだってあるでしょ、だから、自分のことだけを考えていたらダメなの、それでね…、そしてね…、さらにこういうことだってあるでしょ…」
こうやってていねいにかみ砕いて教えてあげることも必要です。
でも、悪いことだと分かっているなら、ていねいな説明はいりません。
特にそれで他の人に迷惑をかけるようなことがあったらなら、感情をぶつけて叱ったっていいのではないですか。
※ただし、子供に「そうしなければならなかった事情がある」こともあるので本人の話を聞くことは大切ですが…。
なぜその先生の言うことは聞くのか
彼らは中学生でしたから、自分たちに非があることはわかっていました。
だから、延々とダメな理由を聞かされれば時には「いつまでもうるさいなぁ、わかってる!」と反感を招くことだってあります。
でも、その先生の言うことは良く聞いていた。
きっと、理屈ではなくその先生の気持ちに打たれ、感じたのではないでしょうか。
子供を叱る時に自分の感情をぶつけてはいけない
オイ! さっき言ったことと違うじゃないか!
「早くしなさい」は自分のイライラの解消でしょ!
わざとノラリクラリのんびりして遅いなら別ですが…
子供に「早くしなさい!」は禁句です。
なぜなら、それは行動が遅い子供にイライラしている自分の気持ちをぶつけているだけですから(^^;)
どうしてできないの!
これも、親の思い通りにできない子供にイライラしている自分の気持ちをぶつけているだけです(^^;)
教師にもいろんな人がいます。
やはりかつての同僚ですが、とても優秀な女性の数学の先生がいました。
彼女の口癖は「どうしてできないの?」
「どうしてできないの?」って、それを教えるのがお前の仕事だろ!
きっと自分は小学校、中学校、高校、大学とずーっと優秀な子だったんでしょう。
だから、「なぜ子供がわからないか、どこでつまずいているか」に気付けなかったんですね。
ストレートで大学まで進み、一発で採用試験を通過した優秀な先生でしたが、先ほどの国語の先生とは対照的に言うことを聞かずに反発する生徒が多かったですね(^^;)
子供を叱る場面を減らすことってできるんですよ
たとえばテーブルの上に花を入れた花瓶を置いていたのを子供が落として壊したので「どうして落としたの! ダメでしょ!」と叱ったとします。
でも、花瓶を子供の手の届かない場所に置いておくという工夫さえすれば子供を叱る必要はなかったですね。
また思いっきり逸れますが、やはりワンちゃんを飼っていたときに先輩から言われた言葉
犬をリビングで放すなら、基本的に床には何も置かないこと!
ティッシュを全部引き出されて犬を怒るのは最低! 置いた人間が悪いの!
犬が食べてはダメなブドウやチョコレートをうっかり出しておくなんて論外だから!
子供に「早くしなさい」と叱る前に
大人が素早くできることも子どもにとっては時間のかかることも多いもの。
早くと急がせることでかえって遅くなってしまう場合もあるようです。
大人が先を見通して着手する時間を上手に教えてあげるといいですね。
「今日は○時にはお出かけするけど、何時からしたくを始めれば大丈夫?」
仮にその時間に準備を始められなくて遅れたのであれば、「今度は決めた時間にしたくを始めようか!」
決めた時間に始めても遅れたのであれば「今度はもう少し早くからしたくを始めようね」と声を掛けるというのはどうでしょう?
これは学校に遅刻がちな中学生にも使える工夫です。
もちろん、掛ける言葉は中学生にふさわしい言葉に代えますけど…。
子供を「どうしてできないの!」と叱る前に「
「どうしてできないの!」って、子供が自信を失いやすい言葉で、度々言われたら「自分ってダメなんだ」と思ってしまうだろ!
大人にとっては簡単なことも子どもには初めてのことだったり慣れていなかったりすればできないことも多いもの。
「何が難しい?」
そんな勇気づけの言葉を掛けたいですね。
これも中学生や高校生にはそれなりの言葉に代えて言えば通用します。
子供を叱るのを夫や他人に任せていると
よく子供の叱り方でこんなことを言っている人を見たことはありませんか?
「あとでパパに叱ってもらいますからね」
叱るのは自分がいいですね。
現場を見ていない夫に言いつけて叱ったもらっても子供の心には響きません。
旦那さんには旦那さんの叱る場面があるでしょうしね(^^)/
叱るテクニックを磨く前に
子供を上手に叱る方法、いわゆるテクニックを磨く前に、やるべきことがあります。
あるご家庭からこんな子育ての相談をもらったことがあります。
そこで、厳しく叱り、目の届くところにお金を置かないようにした。
ところが、その今度はお店で万引きをして見つかり警察に通報されてしまった。
それでどうしたら良いかという相談です。
話を聞いてみるとその女の子が小学校低学年の頃に下に弟が生まれたということ。
女の子は手のかからない良い子だったので、お母さんは「あなたはお姉ちゃんだから」と言って赤ちゃんの子育てにかかりっきりになっていたようです。
そこでその女の子は無意識に、お母さんの目を自分に向けるには「良いことをしても無理」だと気づき、「悪いことをした時だけ」自分に振り向いてくれたので繰り返したことが想像できます。
この時は赤ちゃんの子育てを夫やご両親の協力も得てお母さんの負担を減らし、その分、お母さんから娘さんに愛情を注いでもらうことで劇的に解決しました。
二人で出かけたり、娘さんをギューっと抱きしめてもらっただけなんですけどね(^^;)
子供が万引きした時の叱り方で中学生の場合は?
こんな感じにいくら叱り方のノウハウを得て、叱り方のテクニックを磨いてもダメです。
子供がお金や物を盗んだりするような場合は叱る以前に
「なぜこの子はお金を盗んだんだろう」と
子供がそんな気持ちになった原因を振り返ってみることが大切です。
子供の叱り方でやってはいけないダメな方法
子供がよその子供を怪我させた時の叱り方はどうすればいいのでしょう?
子供を叱る前にすることがあるでしょ
我が子だけを見ていて大切なものを見落とさないことが大切です。
はっきり言って、叱ることなんか後回しです。
・その場では誰がどう対処してくれたのか?
・病院に行ったのか?
・今はどこにいてどんな様子なのか?
これらの状況を把握し、一刻も早く対応することが必要です。
私の二男が小学生の時に、高学年の女の子に手を出してケガをさせたことがありました。
学校から子供が帰ってきてすぐに事情を話してくれたので、さっそくその女の子のお家に電話してケガの様子などを確認しました。
幸い、病院に行くほどのケガではなかったという話でしたので、私と妻が子供を連れ、菓子折を持ってすぐに謝罪に行きました。
そして私たち親が誠意を込めて謝りお詫びしました。
(よくありがちな、「ほら、お前も謝りなさい!」とは言いませんでした。この場合は親が真剣に謝罪するべきだと私は思いましたので)
相手の親御さんは、私たちがすぐに行ったので驚いた様子でしたが、子供同士のことなので…と理解を示してくれました。
自宅に戻った時に子供が私たちに言いました。
「ごめんなさい。一緒に行ってくれてありがとう。」
妻も私もその言葉を聞いたらもう十分で、結局、怒ることも叱ることもしませんでした。
それで、それ以来、誰かに怪我を負わせたようなことは一度もありません(^^)/
ちなみに、夜、先生から電話があって
「どうします?」って言うから
「もう本人を連れて、相手のお宅に謝罪に行って理解を示してもらいました」
と言ったら驚いていました(^^;)
学校なんて関係ないってことだな!
子供が約束を破ったらどうしますか?
子供の叱り方で「約束を破ったときにどうしましょう」という声を何度ももらいました。
そんな時には次のようなお話をしました。
「今度からだめだからね」は最高のダメ言葉
リビングでボールを投げて花瓶を割ったとします。
「今度からここでボール遊びをしちゃダメだからね」と言って親が後片付けをしてはいけません。
それって最低なパターンだな!
そして夜、お父さんが帰ってきたら、何をしてどうなったかをきちんと報告させる。
それで終わりです。
パパもそこで怒ったり叱る必要はなく、
「後片付けは自分でできたのかな?」
と聞いて、
子供の言葉に「それは良かった」という言葉をかけるだけでOKです。
それをお母さんが全部片付けをしてしまい、
「今度からダメだからね、約束だよ」
こうやって大人が責任の肩代わりをするからいつまでも同じくり返しになるんです。
そんなことをするなら○○をしてあげない
望ましくない行動を辞めさせたいなら、その善し悪しや弊害などを子どもに上手に教える方がいいですね。
「お小遣いをやらない」「おやつ抜きにする」といった叱り方はもちろん、
ご飯を抜く、おやつを食べさせないといった罰で子どもの行為をコントロールする考え方は決して子供を育ててくれないと思います。
約束は子供にしてもらうと叱ることを減らせる
「いい、今度からゲームは8時までだからね、約束だよ」
これは約束ではなく親の指示です(^^;)
ある男の子のお父さんは厳しかったですね。
「子供が約束を守らなかったので、ゲーム機を全部壊して捨てました」
そこで私は思わず聞いたんです。
「えーっ、思い切ったことをしましたね。それで子供は納得しているんですか?」
次の父親の話を聞いて私も納得しました。
遅い時間までゲームをしているので子供に聞いたんです。
「勉強に影響が出ないギリギリのゲーム時間は何時までだと思う?」と。
そしたら夜の10時だと言うんです。それで、じゃぁこれからどうしたいのか聞いたら
「10時までにはゲームをやめて勉強する」と言うんです。それでさらに聞いたんです。
「10時過ぎまでゲームをしていたらお父さんはどうすればいい?」と。そしたら子供が
「大丈夫、その時はゲームを捨ててもいいよ」
と言ったんでそれで捨てたんです。
拾ってくると困るので壊してからですが…
親の怒り方で子供は変わる
子供と日々接していると本当に様々なことが起きるので、怒り方や叱り方で迷うこともありました。
特に子供の喧嘩についてです。
子供同士が喧嘩をした時にどう叱りますか?
我が家は男の子2人でしたので喧嘩の時にどう叱るかを迷ったこともありましたね。
それで妻と相談して
「ケガをしない限り兄弟喧嘩の仲裁には入らないようにしよう」と決めました。
するとどうしても一方的に弟が負けることが多くなったので辛い事もありました。
それで、それまでは下の子可愛さから弟に加勢するようなこともあったのですが、お互いにチェックして自重しました(^^)/
そのおかげで、子供同士の兄弟ゲンカを親が叱るという場面はなく、2人で解決していました。
子供の喧嘩の叱り方というか、対応の仕方は難しいですが、振り返ってみて、できるだけ子ども達の中で解決するようにさせて良かったと思っています。
子供に口答えをさせてあげる
「子供の口答えの叱り方はどうすればいいのか」
そんな質問を保護者の方からいただいたこともあります。
よく親が叱っている時に子供が言い返してくると
「言い訳をするな」
とさらに怒る方がいます。
人はみな自分かわいさから自分に都合のいい言い訳を言うものです。
大人から見れば見え透いた言い訳でも子どもは必至に自分を守ろうとしています。
それを頭ごなしに「言い訳をするな」と否定しないで
『こうなる訳があったら聞かせて』と聞く耳を持ちたいものです。
ただ、人のせいにするなど明らかに責任逃れをしようとするならきちんと叱ることは大切ですが(^^;)
まぁそうならないように普段からできるだけ子どもの言い分を聞いてあげるといいですね。
子どもの叱り方のコツとダメにする親の怒り方のまとめ
いろんな場面を思い起こしながら書きましたがいかがでしたか?
そうそう、最初に紹介した「大声を出さずに子ども達を静かにさせていた先生の話」ですが…
彼は黙ったままよ~く子ども達を観察しているんです。
すると黙ったままの先生に気付く生徒が出てきて、その人数がある程度になると一瞬静かになる時があるんだそうです。
そのタイミングで一言
「授業に入っていいかな?」と小さな声で言います。
すると、シーンと静かになるんだそうです。
家庭における子供に当てはめて考えるなら、
・親の方をチラッと見た瞬間をとらえて何かアクションをする
たとえば口に手を当てて「シーッ」と言うとか、
「今、頭が痛いから小さい声で騒いでね」と言うとか(^^)/
子供の短所に目が行くから叱りたくなる
お子さんの長所と短所を思いつくままあげてみてください。
子育て講座の講師をした時にお子さんの長所と短所を1分ずつ計って書き出してもらったことがあります。
その時の保護者の方は短所の方が数多く書いていました。
短所ばかりに目が行くとどうしても怒りたくもなるもの。
この機会に子供の短所を長所に読み替えてみてはいかがでしょうか?
いっぱい見つけてやれよな
飽きっぽい | → | 興味関心が強い |
落ち着きがない | → | 行動的 |
うるさい | → | 明るく快活 |
なまけもの | → | マイペース |
人真似が多い | → | 協調性がある |
短気 | → | 決断が早い |
特徴がない | → | バランスのとれた |
ひねくれている | → | ユニーク |
頑固 | → | 信念をもっている |
生意気 | → | 意思が強い |
反応が遅い | → | 物事に動じない |
それではまた(^^)/