子どもが高校生になって「そろそろ仕事を始めようか」なんて思っていた矢先に「高校には行かない」と言われたら、普通のパパママならさぞ戸惑うことだと思います。
なんとかして高校に復帰させようと親ががんばっても高校生にもなると簡単には動きません。
そこで、転校という考えが本人からも出てくることもあります。
ところが、転校することで復帰することができる場合がある一方、転校することでダメージをかえって深めるケースもあります。
その見極め方を次のように大きく2つにまとめました。
- 転校することで高校に復帰しやすいケース
- 転校しても登校再開があまり期待できないケース
まだお読みでないようでしたら、次のページを先にお読みください。
→不登校の高校生にワケを聞いてはダメな理由
→不登校になったときに最初に親がしてあげたい3つのこと
転校することで高校に復帰しやすいケース
転校して今まで通りに高校に元気に行ってくれるなら、親とすればなんとかして手助けしてあげたいところです。
復帰しやすい2つのケースについてあげてみます。
学習内容が考えていたものと違うケース
他のところでは身近に具体的なケースがないのですが、このケースの場合は2つあります。
ひとつは私の知り合いの子どもで復帰につながったケース、もうひとつは私の高校の同級生のケースです。
知り合いのAさんの場合
- 早く仕事に就きたいという本人の希望から大学進学を考えていませんでした。
- 成績優秀で高専も推薦可能という先生や親の勧めで工業高等専門学校に進みました。
- 入学後の勉強が進むにつれ専門的な学習内容に興味が薄れ「自分は文系かも?」と疑問が出てきました。
- 女子が少なく男子が多い校内の雰囲気にも嫌気がさして不登校が始まりました。
簡単に言えば「推薦可能」に惹かれ進路を決めたものの自分には合わなかったということです。
結局…
地元の公立高校で転入を受け入れてくれる学校はなく、私立高校の同じ1年生に転入しました。
高専に比べてレベルが下がったこともあり、成績は上位になり、その後は何事もなかったかのように通学を続けられたようです。
小中学校の転校と異なり、高校での転校は簡単ではありません。
通常、基本的には転入の正当な理由、たとえば仕事の関係による家族の転居などがなければ認められません。
もちろん、学習内容が合わなかったということは正当の理由にはなりません。
そのため通常はいったん退学し、再度普通高校の受験をせざるを得ないことになります。
ただ、あくまでも受け入れ先の高等学校側の規則や裁量によりますので、具体的に本人が希望するのであれば問い合わせてみるのがいちばんです。
私の同級生Bくんの場合
私の同級生なのでずいぶん昔の話で恐縮ですが…
中学校3年生の時に同じクラスだった男の子です。
私は普通科高校、彼は商業高校に進学しました。
それほど親しい間柄ではなかったので彼が同じ高校を1年後に受験したことを知りませんでした。
私が高校2年生になったときに、突然私の所属していた部活に入ってきて驚きました(^^;)
聞けば、成績が不安で商業高校に進んだものの、簿記などの学習にまったく興味がなく毎日が苦痛で途中から登校をやめたそうです。
そして一念発起して受験勉強をして私が行っている高校を再受験したということです。
当然、学年はひとつ下で部活では私の後輩になるわけです(^^;)
正直のところ、彼が後輩であることに私にはとても違和感があり、最初の数ヶ月はぎこちないやりとりをしていました。
ただ、彼はまったく気にしない様子で屈託なく過ごしていたことを覚えています。
公立高校間ですし、彼が最初に選んだ高校の方が入試レベルが低かったので転校は認められません。
それでも、退学→再受験ということですが、見事にそれを乗り越えた彼でした(^^)/
頑張り屋さんが急に無気力になったケース
受験勉強にがんばり、念願の高校生活が始まった瞬間に力が抜けてしまうケースがあります。
意外に多いかもしれませんが、高校に進学して学習を進めていくうちに意欲が戻ってくる場合がほとんどです。
また、新たな友だちができることでスムーズに学習を続けられます。
一時的な場合が多いので、できれば深入りする前に復帰させたいですね。
私なら、まずは不登校を受け入れ、自宅で安心した生活を送らせます。
そして、規則正しい生活を維持させながら、料理・洗濯・掃除といった家の仕事をできるだけ多くさせます。
言い換えれば、いつ寝ようが起きようが自由で、ゲームなど何をしても自由という形にさせません。
そして、
「高校が嫌なら退学して中卒で仕事に就いてもいいさ」
という考えで親としての腹をくくります。
きっと、ほどなく本人から親にいろいろ話してくると思いますし、その結果高校生活に復帰できる可能性は高いと思います。
それでもダメなら就職させればいいんです(^^)/
ばくぜんとした将来の不安からくるケース
大変だった受験をすぎて入学してホッとした時に「このままでいいのかな?」と思うケース、けっこうあるのではないでしょうか。
私もそうですが、人間ってヒマになるとろくなことを考えないと思いませんか?
だから、高校に入学して部活動に取り組んでいる生徒なら不安を考えているヒマがありません(^^;)
対応の仕方は先ほど書いた頑張り屋さんが急に無気力になったケースとほぼ同じでよいと思います。
そして、それに加えてお父さん、お母さんの高校生のころを思い出して将来のことを語り合ってみてはどうでしょう。
あくまでも、聞くことをメインにして、聞かれたら「私も高校生のころはネ…」と話すことが良いと思いますが…
いわれのないいじめにあったケース
本人に原因のない理不尽ないじめにあった場合も転校は有効だと考えられます。
親としていじめに立ち向かうのも方法ですし、程度にもよりますが、不登校まで追いつめられているのであれば私なら転校させます。
そして、可能であれば転居してまったく知らない土地に行って新たなスタートを切ります。
ただ、これは理想論であって現実はなかなか厳しいことが考えられます。
→続きはこちら
親子共によほどの覚悟がないと実行は難しいです。
いじめが、本人の性格や言動によるものがきっかけの場合は、転校を機にそれを改善する必要も出てきます。
転校しても登校再開があまり期待できないケース
転校しても通学を再開して復帰することが難しい場合もあります。
学校になじめない、違和感を感じている
小中学校の時にひとりぼっちでいることが多く、なかなか友だちができなかった場合などは、転校しても不登校を繰り返すことが考えられます。
そのため、転校を考えるよりも不登校で自宅にいる時間を有効に使って、本人の思いや話をいっぱい引き出し聞くようにすることが良いのではないでしょうか。
中にはみんなが同じことを学習する画一的な教育に違和感を感じる子もけっして少なくはありません。
その場合は、無理やり集団生活に戻そうとせず、フリースクールの高校版といった学校に通うことができると多様な考えで将来を切り拓いて行く道が開けます。
いわれのないいじめにあったケース
本人に原因のない理不尽ないじめにあった場合、転校が有効だと先ほど言いましたが、現実はなかなか厳しいことが考えられます。
まず、実際問題として転居すれば自動的に転校できる小中学校と比べてて高等学校の転校は容易ではなく、特に公立高校では相当難しいようです。
それでもあなたのお子さんの希望があれば、高校の先生に相談して受け入れ先の高校があるかを確認してみるといいです。
ただ、ここからはあくまでも私の個人的な考えですが…
いじめにあって不登校に追い込まれるお子さんの場合、仮に転校を受け入れ高校があっても、そこで新たな人間関係を作っていくことはけっこうハードルが高いと思います。
そのため、せっかく転校しても同じことの繰り返しになるリスクが高く、不登校が2つの学校で続くと「私はダメな人間」と自己肯定感が低くなってしまう恐れがあります。
お子さんの性格にもよりますが、場合によっては通信制の高校を考えるのも方法かと思います。
高校の転校を考える前に
前にも触れましたが、小中学校の転校と違い高校の転校はとても難しいです。
対応は、それぞれのケースのところに書きましたのでひとつの参考にしてください。
対応は急がずあわてず怠らず
「あなたの希望で決めた高校でしょ! どうするの!」
責めたところで現状は変わりませんし、かえってお子さんを追いつめます。
まずは、安心できる居場所を作り、親も子どもも心を安定させましょう。
その上で子どもの思いを受けとめ、考えを聞いていけばいいことで決して急いではダメだとおもいます。
ただ、登校しない日が1ヶ月、2ヶ月と長引いていくと、その状況にしだいに親子共に慣れてしまい不登校という現状を変えるエネルギーがなくなってしまう恐れがあります。
急がないけど、怠らないで取り組んでいく必要があります。
選択肢が広がる多様な学習形態
公立高校への転校は転居等がなければ難しいというのが常識です。
もちろん転居等による公立高校への転校もお子さんの状況によってはとても良い結果となるでしょう。
でも、一方では義務教育と違い、多様な道を選ぶことができます。
- 私立高校へ転校する
- 翌年、再度受験する
- フリースクールのような学校を探す
- 通信制の高等学校で学ぶ
- 自宅学習をして大検を受ける
- 高校を辞めて就職をする
ただ、先ほども書きましたが、くれぐれも対応は急がずあわてず怠らずでお願いします(^^)/
それではまた!